茨城県つくば市は関東の名峰、筑波山の南側に広がる筑波大地に位置します。国立の研究機関・大学を中心とする筑波研究学園都市を中心に、周囲には広大な農地が広がります。「トカイナカ」と呼ばれ、科学の先端と伝統的な田園風景とが共存する独特の雰囲気を持った環境を持ちます。かつては「陸の孤島」とも呼ばれて来ましたが、2005年に鉄道(筑波エクスプレス)が開通し、秋葉原まで45分の好アクセス地となりました。現在では多くの人が、東京圏とつくば市を往来しています。
江戸時代より「りんごとみかんが両方育つ地」として知られ、多品種の農産物が栽培されています。この環境はブルーベリーの栽培にも反映され、北方系と南方系に区別されるブルーベリーのおよそ全品種が栽培可能。各農園では、多岐にわたる品種を扱うことで、長期間に渡って旬のブルーベリーを摘み取れるように工夫しています。
つくば市のブルーベリー栽培は、開学して間もない筑波大学から始まります。公開講座では当時、珍しかったブルーベリー栽培が取り上げられました。そして、その講座修了時には、記念品としてブルーベリーの苗がプレゼントされました。その講座を履修した当協議会の初代会長が、筑波大学の福島正幸先生と共に栽培研究を重ねて独自の栽培方法を確立したのです。そして二人は同時期に、多くの人にブルーベリー栽培を呼びかけます。これに応えて栽培技術を学ぶ人が増え、現在のつくばブルーベリー協議会につながっています。
2000年にはつくば国際会議場において、ブルーベリーの全国産地シンポジウムが開催されました。共催するつくば市は『ブルーベリーシティつくば』を宣言し、ブルーベリー賀詞の特産品に加えられたのです。現在のつくば市内では、たいへん多くの小規模ブルーベリー生産者が栽培に汗を流しています。
つくば市のブルーベリー栽培は、営農というよりは園芸研究栽培に近い性格が強いかもしれません。そのせいか、多品種少量生産の農園が多いため長期に渡ってブルーベリーの旬(2週間程度/品種)が続きます。収量より品質が優先され、無農薬/有機肥料にこだわって栽培されます。害虫駆除は割り箸で、落果はこまめに拾って圃場の環境を保っています。他地域の栽培者からは、つくばの圃場をして「盆栽を育てているみたい」と言われてしまうことも。
万葉集にも歌われる名峰、筑波山。「紫峰」とも呼ばれ、古来より観光地として親しまれてきました。「山」と「紫」、なんだかブルベリーを連想しやすい環境です。 しかし現状では、筑波山麓ではブルーベリーが栽培されていません。そこで今後は、筑波山観光のメニューにブルーベリー関連の魅力が加わって、つくばの魅力が一層に感じられるようにしたいと思います。商品開発、観光資源としての連携など、面白そうなアイデアを形にしていけたらと思います。
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